認知症は、高齢になってからの発症率が最も高く、年齢を重ねる毎に発症率も増加する傾向にありますが、年齢とともに進行する通常の「老化」とは異なるものです。

お年寄りの病気というイメージが強かったこの病気が、近年若者の間で増加していることから、65歳以上の認知症を「老人性認知症」、18歳~65歳未満の認知症を「若年性認知症」と呼び、区別されるようになりました。

■認知症の定義(介護保険法より)
脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態

この認知症状が起こる具体的な原因となる疾患には、アルツハイマー病、脳卒中をはじめとする脳血管障害、びまん性レビー小体病、ピック病、パーキンソン病、脳腫瘍 などの他、交通事故や強い衝撃による頭部外傷の後遺症などがあります。

中でも、アルツハイマー病による認知症の占める割合が最も高いと言われていますが、若年性のみを対象とした厚生労働省の調査においては、脳血管障害による認知症が最も多い原因であることが分かっています。

認知症原因の割合

若年性認知症の症状

認知症の症状には、「中核症状」と「周辺症状」があります。

中核症状は、脳の器質的な障害に伴って必ず現れる症状で、脳の障害とともに徐々に進行していきます。一方、周辺症状は、中核症状や患者を取り巻く生活環境など、さまざまな要因に伴って現れる症状で、必ずしも現れるとは限らず、いつ現れるかもわからない症状のことです。

対応の仕方が分からず精神的に追い込まれたり虐待に発展してしまうなど、介護者にとっては「周辺症状」への理解と対応が大きな問題となっています。

中核症状
記憶障害 過去の出来事の全てを忘れ、新しいことを覚えることができない。最近の新しい記憶から徐々に失われ、忘れたこと自体自覚できなくなる。
見当識障害 自分の置かれている状況や、場所、時間、人物などを認識できなくなる。
言語障害 失語・構音障害、口唇・舌の麻痺などにより、言葉によるコミュニケーションがうまくとれなくなる。
判断力の低下 時間や状況に応じた判断ができなくなる。
実行機能障害 計画を立てて行動したり、物事を論理的に考えて行動する能力が失われ、「料理をする」「電話をかける」「洋服を着る」などの簡単な動作も徐々にできなくなる。
周辺症状
徘徊 正常な人からみると、目的を持たず無意識のうちに歩きまわっているように見える状態。本人にとっては何らかの意味を持った行動である。
暴言・暴行 身体や精神の不調、生活環境への不満・欲求などを伝える能力が低下するため、そういった意思表示が暴力となって現れる。
抑うつ状態 気持ちが落ち込み意欲が低下するなど、うつ病によく似た症状が現れる。
不安・焦燥 不安や焦りから、急に泣き出したり落ち着きなく動き回ったりする。物忘れとは別に不安感から「同じことを何度も聞く」「家族の後をついて回る」などの症状もみられる。
幻覚 見えるはずのないものが見えたり、聞こえるはずのない音が聞こえたりする。
妄想 実際に起こっていない出来事や、起こるはずのない内容を、起こったと確信して思い込む。
異食・過食 食べ物でないものを口に運ぶなど、物体を認識する能力が低下することで起こる異食や、食べたことを忘れてしまったり、満腹中枢の異常によって必要以上に食べてしまう過食などが見られる。
睡眠障害 睡眠覚醒リズムが乱れて起こる。1日24時間の生活リズムを忘れ、夜を夜と認識できない場合や、日中の活動量が原因になる場合もある。
せん妄 興奮してそわそわしたり、奇声を発して暴れたりする。
夜間に症状が出やすい。(夜間せん妄)
性格変化 ニコニコしていておとなしくなったり、攻撃的になったりする。
不潔行為 主に、便をいじるなどの弄便行為がある。トイレの場所がわからない、排便行為がうまくいかない、オムツを取り替えていない、などが原因で便失禁し、さらに、その便を見ても便だと認識できなかったり、感触や臭いを不快に感じたりすることが弄便行為につながる。