若年性認知症は、40代~60代で発症することが最も多く、一家を支える働き盛りの男性や主婦の多い年代です。経済面、体力面において家族にかかる負担は大きく、介護者にはさらに精神面での負担がのしかかることになるでしょう。

在宅介護においては、患者本人の介護だけでなく、介護者に対するケアも重要な課題です。ひとりで全てを抱え込もうとせず、周囲を巻き込む介護体制を整えることが大切になります。

近隣関係の希薄化した地域や、嫁が介護をすることが当たり前といった風潮のある地域では特に、介護者にかかる負担は計り知れません。介護者自身がうつ病になるケースも多く、4人に1人は軽度以上のうつ病が疑われるといった報告もあるのです。

介護には家族や周囲の協力が不可欠です。家族で十分に話し合って理解と協力を求めるのはもちろんのこと、近隣住人の手助けの申し出は遠慮せずにお願いしたり、緊急時や困った時に頼れる施設やケアマネージャーとの関係を持つなど、介護者自身が倒れることなく元気に介護していくための体制を整えていく必要があります。

時には周囲の協力のもと、介護を離れて自由に使える時間を持って、心身を休めることも必要です。

若年性認知症の在宅介護

若年性認知症患者は、記憶障害や実行機能障害の他、さまざまな症状によって物事を忘れてしまったり、できなくなったりしていきますが、何も考えずに毎日を過ごしているわけではありません。

自分自身の立場や周囲との関わりに不安や寂しさを感じたり、申し訳なく思ったりもしています。

在宅介護においては、最も適した介護者が「家族」であることは言う間でもありませんが、さらに言えば「認知症患者が元気な頃からより良い信頼関係を築いてきた家族」が共に過ごすことが望ましいと言われています。安心できる空間で、信頼できる家族と共に過ごすことで、こういった不安を軽減させることができるでしょう。

しかし、認知症は症状が進行するにつれて、コミュニケーションをとることが難しくなってきます。いくら元気な頃に信頼関係があったとはいえ、伝えたいことをうまく表現できないために、介護者の接し方ひとつで周辺症状が和らいだり悪化したりすることもあるのです。

参考:周辺症状とは?

徘徊、暴行、睡眠障害、異食など、この「周辺症状」への理解と対応が、在宅介護をするうえで大きな問題となり、介護者を悩ませる場合が多いと言われています。

  • 人として、家族の一員として、社会の一員として認めてほしい。
  • 安心して暮らすことのできる自分の居場所がほしい。
  • 元気だったあの頃の自分にかえりたい。

若年性認知症の人の想いは、いろいろな形となって現れます。行動そのものを対処する方法を考えるだけではなく、その奥にある「気持ち」を理解したうえで対処することが大切なのです。

参考:周辺症状・問題行動への対応と対策